本研究は、ヒトに類似性の高い霊長類の運動ニューロンを用いて作製したALS2タンパク質欠失細胞を用いてALS2タンパク質の機能を明らかにし、ALS2タンパク質機能喪失による神経細胞死や機能異常の分子背景を解明することを目的とする。 本年度は、前年に引き続き、1.マーモセットALS2遺伝子に対するノックダウンベクターの改変と構築、2.プラスミドベクターのALS2遺伝子発現抑制効果の確認、3.マーモセットALS2遺伝子発現抑制ESクローンのスクリーニングを試みた。 昨年度までに構築したpSingle-tTet-shRNA vectorを基本骨格としたマーモセットALS2遺伝子を特異的に発現抑制するノックダウンベクターに加え、新たに、psiRNA-DUOを用いてノックダウンベクターを構築した。次に、このベクターが蛍光タンパク質EGFPを発現し、さらには、ALS2の発現抑制効果を持つことを、構築したベクターをマーモセットES細胞に導入した後に、回収した細胞から抽出したタンパク質サンプルを用いたウエスタンブロット解析によって解析した。その結果、EGFPの発現及びALS2遺伝子の発現抑制効果が認められた。よって、今回構築したプラスミドベクターは、ALS2遺伝子に対する発現抑制効果を持つことが明らかとなった。現在、このプラスミドベクターを用いてマーモセットALS2遺伝子をテトラサイクリン依存的に発現抑制するES細胞株の選定とそれらの細胞を用いた機能解析を行っている。
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