研究課題
これまでに母子分離をSDラットを用いておこない、オープンフィールド試験において寄りかかり行動(壁に前肢をつき、後肢で立ち上がる行動)が雄雌共に増加すること等を明らかとしてきた。しかし、接触走性等が不安様行動であることは知られているが、寄りかかり行動に関しては不明である。そこで、さらに調べ、夜行性のラットが嫌がる明条件下で不安様行動として知られる中心領域滞在時間よりも感度よく、寄りかかり行動が著しく増加すること、立ち上がり行動は逆に減少することから異なる意味の行動であることを明らかとした。本年度は、さらに抗不安薬ジアゼパムの効果についても調べた。抗不安薬投与により明条件下で寄りかかり行動が減少することが明らかとなった。しかし、先行研究同様にSDラットでは中心領域滞在時間の増加はみられなかった。そこで、先行研究により中心領域滞在時間がジアゼパムにより増加することが報告されているWistarラットを用いて調べたところ、同様に中心領域滞在時間の増加が確認され、寄りかかり行動は減少することが明らかとなった。以上の結果から抗不安薬により寄りかかり行動が系統に関係なく減少することが明らかとなり、寄りかかり行動が不安様行動であることが示唆された。現在、不安惹起薬での効果や逃避系路探索行動であるのかについても検討中である。治療法の開発においては、治療効果を確認するため、出来るだけ明確な変化を示す指標が必要であるが、寄りかかり行動は現在知られる不安様行動よりもより感度の高い不安様行動である可能性がある。感度の高い方法は治療効果を判定しやすく使用動物数を減らせる。また、他にも、母子分離の効果は中心滞在時間や強制水泳試験での無働時間ではほぼ確認できないことや豊環境の効果がむしろストレスになっている可能性も出てきている。コルチコステロン測定ではELISA法が立ち上がり、近々測定予定である。
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J.Biol Chem.
巻: 286 ページ: 21478-21487
10.1074/jbc.M110.195859
http://www.med.tottori-u.ac.jp/neurobio/5980.html