変異γPKCによる脊髄小脳変性症の小脳選択的発症メカニズムの解明

2010 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 21700407
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 神経化学・神経薬理学
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 関 貴弘 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50335650)
• 研究期間 (年度): 2009 – 2010
• キーワード: 神経・精神疾患の病態と治療 / 脊髄小脳失調症 / プルキンエ細胞 / γPKC / Hsc70

研究概要

脊髄小脳失調症14型を引き起こす変異γPKCにより、小脳プルキンエ細胞(PC)特異的な神経変性が引き起こされるメカニズムを解明するため、初代培養神経細胞のPCとPC以外の神経細胞に変異γPKCを発現させた。他の神経と比較して、PCに発現させた変異γPKCの流動性が著しく低下していた。続いて、PCにおいて変異γPKCに強く結合するタンパクとして、heat shock cognate protein 70 (Hsc70)が同定された。変異γPKCはPCにおいてHsc70と強く結合し、その機能を障害することによりPC特異的神経変性を起こすと示唆された。

研究成果

• [雑誌論文] Extracellular ATP differentially modulates Toll-like receptor 4-mediated cell survival and death of microglia. (2011)
  • 著者名/発表者名: Harada, K., Hide, I., Seki, T., Tanaka, S., Nakata, Y., Sakai, N.
  • 雑誌名: J.Neurochem. 116 ページ: 1138-1147
• [雑誌論文] Effect of trehalose on the properties of mutant yPKC, which causes spinocerebellar ataxia type 14,in neuronal cell lines and cultured Purkinje cells. (2010)
  • 著者名/発表者名: Seki, T., Abe-Seki, N., Kikawada, T., Takahashi, H., Yamamoto, K., Adachi, N., Tanaka, S., Hide, I., Saito, N.and Sakai, N.
  • 雑誌名: J.Biol.Chem. 285 ページ: 33252-33264
• [雑誌論文] Congo red, an amyloid-inhibiting compound, alleviates various types of cellular dysfunction triggered by mutant protein kinase Cy that causes spinocerebellar ataxia type 14 (SCA14) by inhibiting oligomerization and aggregation. (2010)
  • 著者名/発表者名: Seki, T., Takahashi, H., Yamamoto, K., Ogawa, K., Onji, T., Adachi, N., Tanaka, S., Hide, I., Saito, N., Sakai, N.
  • 雑誌名: J.Pharmacol.Sci. 114 ページ: 206-216
• [雑誌論文] Mutant protein kinase C gamma that causes spinocerebellar ataxia type 14 (SCA14) is selectively degraded by autophagy. (2010)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto, K., Seki, T., Adachi, N., Takahashi, T., Tanaka, S., Hide, I., Saito, N., Sakai, N.
  • 雑誌名: Genes Cells 15 ページ: 425-437
• [雑誌論文] The C-terminal region of serotonin transporter is important for its trafficking and glycosylation. (2009)
  • 著者名/発表者名: Nobukuni, M., Mochizuki, H., Okada, S., Kameyama, N., Tanaka, A., Yamamoto, H., Amano, T., Seki, T., Sakai, N.
  • 雑誌名: J.Pharmacol.Sci. 111 ページ: 392-404
• [雑誌論文] Mutant yPKC found in spinocerebellar ataxia type 14 induces aggregate-independent maldevelopment of dendrites in primary cultured Purkinje cells. (2009)
  • 著者名/発表者名: Seki, T., Shimahara, T., Yamamoto, K., Abe, N., Amano, T., Adachi, N., Takahashi, H., Kashiwagi, K., Saito, N., Sakai, N.
  • 雑誌名: Neurobiol.Dis. 33 ページ: 260-273
• [学会発表] 脊髄小脳失調症14型(SCAI4)の原因となる変異γPKCはheat shock cognate protein 70 (Hsc70)と結合し (2011)
  • 著者名/発表者名: 関貴弘、他
  • 学会等名: そのリソソームへのトランスロケーシ ョンを抑制するBMB2010
  • 発表場所: 神戸
  • 年月日: 2011-12-07
• [学会発表] 新規活性評価法を用いたシャペロン介在性オートファジー活性に対する脊髄小脳失調症14型(SCAI4)の原因となる変異γPKCの影響第84回日本 (2011)
  • 著者名/発表者名: 関貴弘、他
  • 学会等名: 薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 2011-03-24
• [学会発表] 変異γPKCによる脊髄小脳失調症発症の分子メカニズム解明と治療薬探索 (2011)
  • 著者名/発表者名: 関貴弘
  • 学会等名: 第84回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 2011-03-23
• [学会発表] 脊髄小脳失調症14型(SCAI4)の原因となる変異γPKCの細胞毒性に対するシャペロン介在性オートファジーの影響 (2011)
  • 著者名/発表者名: 隠地智也、他
  • 学会等名: 第84回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 2011-03-23
• [学会発表] ケミカルシャペロン4-Phenyl Butylate(4-PBA)のセロトニントランスポーター機能に対する効果 (2011)
  • 著者名/発表者名: 藤原雅幸、他
  • 学会等名: 第84回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 2011-03-23
• [学会発表] RN46A細胞においてcAMPアナログの長期暴露はセロトニン トランスポーターの取り込み活性を上昇させる (2011)
  • 著者名/発表者名: 山本光、他
  • 学会等名: 第84回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 2011-03-23
• [学会発表] Toll-like receptor 4活性化ミクログリアからのTNF遊離におけるP2×_7受容体の関与:酸性pHによる制御 (2011)
  • 著者名/発表者名: 藤原俊輔、他
  • 学会等名: 第84回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 2011-03-22
• [学会発表] 脊髄小脳失調症14型(SCAI4)の原因となる変異γPKCの細胞毒性に対するシャペロン介在性オートファジーの影響 (2010)
  • 著者名/発表者名: 隠地智也、他
  • 学会等名: BMB2010
  • 発表場所: 神戸
  • 年月日: 2010-12-07
• [学会発表] 神経細胞株におけるニコチン誘発性PKCトランスロケーションの観察 (2010)
  • 著者名/発表者名: 酒井規雄、他
  • 学会等名: 第118回日本薬理学会近畿部会
  • 発表場所: 大阪
  • 年月日: 2010-11-18
• [学会発表] Neural expression of G Protein-coupled receptors GPR3 modulates survival of cerebellar granular neurons under hypoxic conditions. (2010)
  • 著者名/発表者名: Tanaka, S., et al.
  • 学会等名: Neuroscience
  • 発表場所: San Diego, USA
  • 年月日: 2010-11-14
• [学会発表] Toll-like receptor 4および細胞外Arpによるミクログリアの細胞死/生存調節 (2010)
  • 著者名/発表者名: 原田佳奈、他
  • 学会等名: 第38回薬物活性シンポジウム
  • 発表場所: 札幌市
  • 年月日: 2010-11-12
• [学会発表] Mutant yPKC causing spinocerebellar ataxia type 14 (SCA14) preferably interacts with heat shock cognate protein 70(Hsc70)and affects it translocation to lysosome. (2010)
  • 著者名/発表者名: Seki, T., et al.
  • 学会等名: Neuroscience
  • 発表場所: San Diego, USA
  • 年月日: 2010-11-04
• [学会発表] Toll-like receptor4活性化ミクログリアの細胞死と生存の細胞外Arpによる調節 (2010)
  • 著者名/発表者名: 原田佳奈、他
  • 学会等名: Neuro
  • 発表場所: 神戸市
  • 年月日: 2010-09-03
• [学会発表] 脊髄小脳失調症14型(SCAI4)の原因となる変異γPKCはheat shock cognate protein 70(Hsc70)と結合し (2010)
  • 著者名/発表者名: 関貴弘、他
  • 学会等名: そのリソソームへのトランスロケーションに影響を及ぼすNeuro
  • 発表場所: 神戸市
  • 年月日: 2010-09-02
• [学会発表] 神経細胞に発現するG蛋白共役型受容体GPR3の低酸素下における神経細胞生存への関与 (2010)
  • 著者名/発表者名: 田中茂、他
  • 学会等名: Neuro
  • 発表場所: 神戸市
  • 年月日: 2010-09-02
• [学会発表] 遺伝性脊髄小脳失調症14型(SCA14)の原因となる変異γPKCはフォルボールエステルによる中心体への局在変化と細胞膜での基質リン酸化能が低下していた (2010)
  • 著者名/発表者名: 山本和央、他
  • 学会等名: 第117回日本薬理学会近畿部会
  • 発表場所: 徳島市
  • 年月日: 2010-07-08
• [学会発表] 遺伝性脊髄小脳失調症14型(SCA14)の原因となるγPKCの特性に対するriluzoleの効果 (2010)
  • 著者名/発表者名: 小川弘太、他
  • 学会等名: 第83回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 大阪市
  • 年月日: 2010-03-16
• [学会発表] 細胞外ATPによるリポポリ サッカライド活性化ミクログリアの生存調節 (2010)
  • 著者名/発表者名: 原田佳奈、他
  • 学会等名: 第83回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 大阪市
  • 年月日: 2010-03-16
• [学会発表] 脊髄小脳失調症14型(SCAI4)の原因となる変異γPKCは初代培養小脳プルキンエ細胞樹状突起の縮小とスパインの減少を引き起こす (2009)
  • 著者名/発表者名: 関貴弘、他
  • 学会等名: 2009生理学研究所シナプス研究会
  • 発表場所: 岡崎市
  • 年月日: 2009-12-14
• [学会発表] 脊髄小脳失調症14型(SCAI4)を引き起こす変異γPKCがオート ファジー性タンパク質分解に及ぼす影響 (2009)
  • 著者名/発表者名: 関貴弘、他
  • 学会等名: 第32回日本分子生物学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 2009-12-12
• [学会発表] 分子シャペロン・Hsp70は、脊髄小脳失調症14型(SCAI4)の原因である変異γPKCの凝集体形成、細胞毒性を抑制する (2009)
  • 著者名/発表者名: 小川弘太、他
  • 学会等名: 第ll6回日本薬理学会 近畿部会
  • 発表場所: 大津市
  • 年月日: 2009-11-13
• [学会発表] EFFECT OF MUTANT yPKC CAUSING SPINOCEREBELLAR ATAXIA TYPE 14 0N AUTOPHAGIC PROTEIN DEGRADATION. (2009)
  • 著者名/発表者名: Seki, T., et al.
  • 学会等名: 5`th International Symposium on Autophagy
  • 発表場所: 大津市
  • 年月日: 2009-09-26
• [学会発表] Effect of mutant yPKC causing spinocerebellar ataxia type 14 0n chaperone-mediated autophagy (2009)
  • 著者名/発表者名: Seki, T., et al.
  • 学会等名: 第32回日本神経科学大会
  • 発表場所: 名古屋市
  • 年月日: 2009-09-18
• [学会発表] 細胞外Arpはミクログリアの生存を制御する (2009)
  • 著者名/発表者名: 原田佳奈、他
  • 学会等名: 第ll5回日本薬理学会 近畿部会
  • 発表場所: 金沢市
  • 年月日: 2009-06-26
• [学会発表] プルキンエ細胞におけるSCA14変異γPKCの特性に対するトレハロースの影響 (2009)
  • 著者名/発表者名: 酒井規雄、他
  • 学会等名: 第50回日本神経学会総会
  • 発表場所: 仙台市
  • 年月日: 2009-05-20