糖尿病による慢性的な高血糖は、海馬の長期増強現象の減少や認知機能の低下を引き起こすことが知られている。本研究では、高血糖が誘発する認知機能障害のメカニズムを明らかにするため、streptozotocin誘発1型糖尿病モデルマウスの海馬および高グルコース条件で培養したヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞を用い、スパインの構成タンパク質の1つであるpost-synaptic density 95 (PSD-95)の発現変化についての検討を行った。その結果、extracellular-regulated kinase (ERK)のリン酸化レベルの低下が、in vivoおよびin vitroレベルでの高血糖状態の持続化による有害作用において重要な役割を演じていることが示唆された。
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