研究概要 |
ヒトグリア型グルタミン酸トランスポーターであるEAAT1およびEAAT2の翻訳後修飾による調節機構について検討した.EAAT1もしくはEAAT2をアフリカツメガエル卵母細胞に強制発現させ,EAAT1/EAAT2電流を測定し,調節物質の探索を行ったところ,NSAIDsであるジクロフェナクとナイフルミック酸に調節作用があることを見いだした.このとき,付加的なプロトン電流が惹起されていることを発見した.これは,グリア型トランスポーターに新たな機能調節機構が存在することを示唆している.また,ツニカマイシンの適用によりグリコシル化による機能調節の可能性についても検討したが,ツニカマイシンはグルタミン酸トランスポーター電流に何ら影響を及ぼさなかった.また,2-Bromhexadecanoic acidの適用によりパルミトイル化による機能調節の可能性についても検討したが,2-Bromhexadecanoic acidはグルタミン酸トランスポーター電流に何ら影響を及ぼさなかった.興味深いことに,選択的セロトニントランスポーター阻害剤であるSSRIの一つ,セルトラリンに有意なグルタミン酸トランスポーター電流促進作用を見いだした.グルタミン酸トランスポーターの機能を促進する薬物は非常にまれであり,中枢神経系疾患への応用が期待される.
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