研究課題
本研究はグリア型グルタミン酸(L-Glu)トランスポーター、EAAT2の新規機能調節機構解明を目的とする。昨年度までに、SNARE蛋白質であるsyntaxin 1A(STX1A)によるEAAT2調節の可能性を検討し、STX1A/EAAT2共発現Xenopus oocyteにおいて、L-Glu誘発電流振幅値の減少を確認している。本年度は、そのメカニズムとしてSTX1AによるEAAT2のXenopus oocyte膜へのトラフィッキングへの影響を考え、膜におけるEAAT2発現変化について検討を行うこととした。その為に、ウエスタンブロッティング(WB)実験にて検出が容易で、尚かつ、Xenopus oocyteへの強制発現が可能なエピトープ標識EAAT2コンストラクト、「V5(GKPIPNPLLGLDST)エピトープ標識を細胞外ドメインに挿入したEAAT2-V5コンストラクト(EAAT2-V5)」を作成した。EAAT2-V5強制発現Xenopus oocyteにおいて、L-Glu誘発EAAT2電流振幅値の濃度依存的な増加、及び、ビオチン・アビジン結合反応を利用して精製したXenpusoocyte膜分画(膜マーカー陽性、ERマーカー陰性)及びtotal分画(膜マーカー陰性、ERマーカー陽性)のEAAT2-V5蛋白質の発現を確認した。WB法によるXenopus oocyte膜における発現量変化解析実験、及び、電流測定実験が可能なEAAT2-V5コンストラクトの完成により、EAAT2機能調節機構解明ツールとしての強制発現Xenopus oocyte実験系の有用性が多いに高まった。
2: おおむね順調に進展している
EAAT2とSTX1Aとのタンパク質相互作用によるEAAT2の機能調節に関して、メカニズム検討に必要な実験環境、実験ツールをそろえることができた。最終年度である今年度にこれらを明らかとし成果をまとめる予定である。
今後は、STX1A/EAAT2-V5共発現Xenopus oocyteの電流測定実験、および、電流測定を行ったXenopus oocyte膜分画及びtotal分画におけるEAAT2-V5およびSTX1Aの発現量変化を解析する。その後、免疫沈降実験を行い、STX1AとEAAT2-v5との直接的な相互作用の可能性について検討する。以上の検討により、STX1AによるEAAT2電流減少のメカニズムを明らかにする予定である。
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ACS Chem Neurosci
巻: 3 ページ: 105-113
Cell Mol Neurobiol
巻: (In press)