研究概要 |
申請者は、milton遺伝子の変異により軸索の形態に異常が認められることを明らかにしており、同じmilton遺伝子でも、異なるalternative splicing axonの変異により、軸索変性(379A株)、軸索の異常伸長(69A株)と全く異なる表現型を示すことから、milton遺伝子の分子多様性と軸索の形態維持との関係に焦点を当て研究を進めてきた。miltonには少なくとも4種のアイソフォームが存在することが明らかとなっており、平成21年度は2種のcDNA全長(milton-a, milton-c)のクローニングを行い、平成22年度では、残り2種についてcDNA全長のクローニングを試み、milton-bのcDNA全長のクローニングし成功した。引き続き、クローニングした3種のアイソフォームのトランスジェニックハエを作成し、379A株、69A株とそれぞれクロスさせレスキュー実験を行ったが、全てのアイソフォームにおいて両変異体のフェノタイプをレスキューされることが明らかとなった。また、各アイソフォーム(milton-a, milton-c)に特異的RNAiトランスジェニックハエを作製後、光受容細胞に特異的なプロモーターであるGMR・Gal4のハエとクロスさせ、産まれてくるF1の光受容細胞の軸索を観察することで、アイソフォームの機能性の差異について検討したが、シングルアイソフォームの欠失のみでは、軸索の形態に異常が生じないことが明らかとなった。 以上のことから、379A株と69A株における軸索の形態異常は、milton遺伝子の単一のアイソフォームの異常によるものでなく、複数のアイソフォームが相互に関与していることが示唆され、今後、複数種のアイソフォームを欠失する実験の必要性があると考えている。
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