鳥類の層状核(NL)神経細胞は、左右の音入力の同時検出器として働くことで両耳間時差(ITD)を検出し音源定位に関わる。本研究ではNLに投射するフィードフォワード抑制回路の存在を明らかにした。このIPSCは同側蝸牛神経核からのEPSCに1~2ミリ秒遅れて入力する。このIPSCは低い周波数領域の細胞でのみ観察され、その周辺に存在するGABA作動性の介在神経細胞によると考えられる。シミュレーションにより、フィードフォワード抑制は弱い音圧でのITD検出精度を改善することが分かった。鳥類NLの低い周波数領域の細胞では、フィードフォワード抑制とフィードバック抑制が相補的に働き、様々な強さの音入力に対して高いITD検出精度を実現していることが示唆された。
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