(1) 中位核神経細胞の活動記録 小脳中位核神経細胞の生体内活動記録に関しては、これまでウサギ・ラットなど比較的大型の動物での報告がなされている。マウスは遺伝子操作が行えるという点で他の動物より優れており、マウスを用いた実験系の確立は重要である。これまでの研究から、瞬目条件反射学習の獲得は小脳中位核で起こっていると考えられ、中位核神経細胞の活動を解析することは小脳機能の解明において重要である。 これまでに、テトロード電極を用い電極条件を検討することで、マウス中位核から神経活動を効率的に記録することが可能になった。また、瞬目条件反射学習中のマウス中位核からも神経活動記録が可能になった。 (1) 高速度ビデオカメラによる瞼動作の詳細な観察 小脳機能阻害により、瞬目条件反射による瞼動作に異常が観察されることが知られている。しかしながら、これまで用いてきた筋電位測定による観察では、反射のタイミング・大きさなどは解析することが難しい。そこで高速度ビデオカメラを用い、瞼動作を直接観察する方法を試みた。高速度ビデオカメラで瞼動作を毎秒1250枚撮影し、上下瞼間の距離を計測することで瞼動作の大きさ・タイミングを詳細に解析することが可能になった。また、瞼刺激をこれまで用いてきた電気刺激によるものから、より自然な刺激であると考えられるエアパフによる空気刺激に変更することで、瞬目条件反射を学習させることができた。音刺激と瞼刺激を組み合わせて繰り返し提示することで、音刺激により瞬きが誘導され、瞼刺激のタイミングで瞼が閉じる様子が観察できた。
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