研究課題
先天性筋(AChE)無力症候群の1つであるCollagen Q (ColQ)変異による終板アセチルコリンエステラーゼ欠損症に対するタンパク係留療法の開発を試みた。COLQを組み込んだアデノ随伴ウィルス(AAV)をKOマウスの尾静脈より全身投与(~2x10^<12>genome copies)4週間後には、ロタロッドによる運動テストで正常マウスと同成績まで回復した。治療マウスの骨格筋の組織切片では、AChR部位に、AChE活性とColQ抗体によるシグナルが検出され、神経筋接合部においてColQが集積していた。また、治療マウスの骨格筋中では、未治療群では存在しないAChE-ColQ複合体が正常の89%まで上昇していた。全身投与マウスで治療効果が高かったのは、COLQ遺伝子導入された細胞の割合が低くても,ColQ自らの細胞外集積により、神経筋接合部において十分量を獲得できたためと考えられる。それを実証するためにKOマウスの右肢前頸骨筋にAAV-COLQを筋肉注射(1x10^<11>genome copies)し、発現したColQの全身筋組織への移動を検証した。その結果、AChEとColQの集積が観察され、AChE活性は正常の15%に上昇していた。一方AAV-LacZおいては、非注入部位で発現が見られなかった。これは、ColQが細部外分子であるため、遺伝子導入された細胞組織以外に、体液を介して他部の組織シナプス基底膜に係留したと考えられる。しかし、非注入部である左肢、前肢でのAAV-ColQ感染細胞は0.15%であった為、タンパクが血流に乗って伝達されたとは言い切れない。そこで、局所注射において全身にAAVが伝達しにくいAAV serotype1に変更するなどして更なる検証を行う予定である。
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