糖尿病モデルマウスの作製には自然発症モデルマウスや薬剤投与により糖尿病を誘発するマウスが存在するが、いずれも共通してその症状や発症時期をコントロールすることができない。我々が開発したTRECK法による糖尿病モデルマウスは、毒素投与により任意の時期に糖尿病を誘発する事が出来、投与量を調節することによって症状の程度をコントロールすることも可能である。しかし、このTRECK糖尿病モデルマウスにおいて、膵β細胞の分布、膵島形態異常、耐糖能の若干の悪化が確認された。この原因の一つとして、毒素受容体の持つ増殖因子活性の影響が考えられた。そのため、その影響を排除した人工毒素受容体を用いて新たなTRECK糖尿病モデルマウスを作製した。プロモーターには以前から用いていたヒトインスリンプロモーター、および一般的に頻用されているラットインスリンプロモーターを使用し、人工毒素受容体としては、今までに当研究室において作製された増殖因子活性が野生型に比べ1/10程度まで抑えられたTR6変異体を用いた。それぞれのプロモーターにつき10ライン以上ずつのトランスジェニックマウスラインを作製したので、これらを今後の解析に用いる。
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