遺伝子改変マウス作製のためのトランスクロモソミックマウス作製技術は染色体工学と発生工学を融合して鳥取大学で開発した技術であり、これまでにヒト抗体産生マウス樹立などの成果を出している。今年度は、加齢進行や性別にともなう個体レベルでの遺伝子発現を安定的に解析するために、EGFPを搭載した人工染色体を保持するマウス系統を樹立した。10週齢、50週齢における♂♀の血液細胞における遺伝子発現をセルアナライザーにより解析したところ、いずれの場合も95%以上のGFP陽性率で性差、個体差、週齢差は観察されなかった。また、エピジェネティックス関連遺伝子を効率的に人工染色体ベクター搭載するために、BACを効率的に改変し、ES細胞中で改変BACを人工染色体ベクターに搭載するシステムを開発した。 以上のことから、人工染色体ベクターは生殖細胞成熟、受精、発生、分化といった生命現象あるいはガンや感染症などの各種疾患に関するエピジェネティクスを安定的に解析することが可能になるツールとなることが期待される。
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