研究概要 |
生体関節等に適応される金属製の人工関節,骨セメントや生体骨間の骨誘導はインプラントの初期固定性や長期成績に深く関係しており,再置換や一スニングを引き起こす要因の一つと考えられている.このことから,本研究では人工関節置換術のような骨組織の結合が求められるような場合において,間隙を効率的に補填し接触領域を確保すること,さらに早期osteointegrationを獲得することを可能にするためのアテロコラーゲンおよび骨補填材料をベースとしたバブル様スキャフォールドの開発に取り組んだ.平成21年度では,研究目的を達成するためバブル様スキャフォールドの開発およびスキャフォールドが骨芽細胞の生存,増殖,分散等に与える影響についてin vitro実験による解析を行った.スキャフォールドの発生方法としてガス滅菌された圧縮空気を用い,スキャフォールドにはアテロコラーゲン,骨補填剤をベースとした混合物を用いた.術中での作成を想定しているため,発生装置は容易に移動できることやコンタミネーションによる患部の感染対策を考慮した.作成されたバブル様スキャフォールドは通常のコラーゲンゲルに対して約2倍の体積を占めた.本スキャフォールドは,細胞の生存に影響しないことを確認した.骨芽細胞の活性を示すアルカリフォスファターゼ活性は,本スキャフォールド群で増加の傾向が認められた.興味深いことに,気泡間に骨芽細胞が分布して海綿骨のような網目状の構造を呈することが認められた.今後は,気泡発生のコントロール,骨芽細胞の石灰化,ラットへの埋植および力学的パラメータの解析を行っていく予定である.
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