研究概要 |
生体関節等に適応される金属製の人工関節,骨セメントや生体骨間の骨誘導はインプラントの初期固定性や長期成績に深く関係しており,再置換や一スニングを引き起こす要因の一つと考えられている.このことから,本研究では人工関節置換術のような骨組織の結合が求められるような場合において,間隙を効率的に補填し接触領域を確保すること,さらに早期osteointegrationを獲得することを可能にするためのアテロコラーゲンおよび骨補填材料をベースとしたバブル様スキャフォールドの開発に取り組んだ.平成22年度では,バブルのサイズコントロールと安定化を目的としたスキャフォールド作成方法の改善を行った.コラーゲンゲルに新たに0.4%アルギン酸プロピルグリコールエステルを添加することで,マイクロオーダーの気泡サイズをコントロールすることが可能となった.また,組織への包埋に関して,微少な骨欠損部への適用には,適用前に予め37℃でゲル化させたものを用いることでスキャフォールドの形状をある程度維持した状態で埋植させることが可能であった.用途に応じてゲル化のタイミングを変えることで本スキャフォールドの使用適応範囲が広くなることが示唆された.さらに,2週間骨芽細胞と共に培養した組織は,見かけ上の体積効率をマイクロCTで詳細に評価したところ,バブルのないコラーゲンゲル(通常)に対して体積当たりのコラーゲン等の材料使用効率が大幅に高まり,内部壊死がなく力学的強度を有した3次元的構造をもった組織であった.
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