研究概要 |
本研究は,脊柱の疾病の予防への貢献を目的としたCT画像における脊柱の解析であり,工学的な技術の支援による脊柱の詳細な形態解析を目指している.今年度は,1. CT画像データベースの作成,2. 脊柱の特徴量((1) 骨密度,(2) 彎曲,(3) 脊柱管の前後径)を解析する手法の開発を計画した. 今年度の成果として,本学倫理審査委員会により本研究が承認され,1000症例規模のCT画像テータベースの作成が可能になり,本研究を実施できる環境を構築した.(1) の骨密度は,工学的アプローチによる椎体海綿骨の骨密度の計測法を開発し,論文誌に掲載された.また,胸椎と腰椎の17の椎体に対して,1000症例の規模で海綿骨の骨密度を解析し,現在論文誌に投稿中である.(2) の彎曲は,臨床で確立しているCobb法による計測は信頼性が十分でないと言われている点に注目し,CT画像からユーザの介在が少なく再現性の高い計測法の確立を目指した.これまでに,工学的なアプローチで人体の解剖構造に注目した画像処理法を設計し,5件の学会発表を行った.(3) の脊柱管の前後径については,(2) で開発した工学的なアプローチを応用し,脊柱管の前後径の評価を容易にするためのリフォーマット法を提案した. しかし,(2) の彎曲では,現時点では彎曲の計測法を論文誌に掲載するには至っておらず,開発した彎曲の計測結果と疾病との関係の検討も着手できていない.また,(3) の脊柱管の前後径は,学会発表等で手法の有効性を示せておらず,計測法の確立や疾病との検討の着手には至っていない. 次年度の課題として,今年度の着手できなかった前期の課題を最優先に取り組む必要がある.さらに,当初の計画に掲げた(4)椎骨の高さの解析,(5)椎間板の高さの解析についても着手する予定である.
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