研究概要 |
細胞内の金属タンパク質やイオンの分布を集光X線を用いて高分解能かつ高感度,ハイスループットに可視化するために,高密度集光X線ビームを形成可能なCorner Kirkpatrick-Baez(CKB)光学系の開発を行った.本年度は,CKB光学系に必要なエッジ部分(エッジから400μmまでが有効領域)に形状精度1nmレベルで作製されたミラー(以下,エッジミラー)の作製方法の確立を行った.エッジミラーを作製するにあたり,2枚のミラーを接合し同時に加工する研磨法の提案を行い,その実現可能性について検討した.この方法においては接合方法が最も重要な点であるが,いくつかの固定法を検討した結果,ステンレス材のジグを用い最適な力で固定するシンプルな方法が最も安定的に基板を固定できることがわかった.さらに,この状態から数値制御Elastic Emission Machining装置によって楕円形状を作製したところ,Peak-to-Valley 5nmの形状精度で楕円形状を作製することに成功した.この結果をさらに高度化することで,形状精度1nmレベルのエッジミラーを作製することは十分実現可能である.来年度には,実際の実験に使用するエッジミラーを試作し,また,光学系を高精度にアライメント可能なミラーマニピュレータの開発を行うことで,SPring-8の放射光を用いて硬X線の2次元集光を行う予定である.
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