研究課題
本研究では、ナノダイヤモンド(ND)の物理的安定性や欠陥を利用した、生体環境下で安定な磁場・光応答性マルチモーダル造影剤の開発を行うことを目標としている。昨年度は、Mnイオン注入NDを長期安定化プローブとして利用できるようにするための合成技術基盤、とくにNDへの効率的なイオン注入技術の開発を主に行った。その結果、1回のMn+イオン注入のみで、磁場・光応答性マルチモーダル分子プローブ(Mn・ND)が合成できることを報告した。今年度は、この磁場・光応答性マルチモーダルMn-NDの生体環境下での安定性維持のための技術開発に取り組んだ。この目標に向けて、Mn-ND表面に金ナノ粒子を付加する方法を開発した。この金ナノ粒子にポリエチレングリコール(PEG)を付加したところ(PEG-Au-Mn-ND)、リン酸緩衝液中での分散性が1週間以上にわたって維持できることが分かった。このPEG-Au-Mn-NDをマウスに投与し、MRI撮像を行ったところ、血管滞留性が高く、T1強調画像による血管造影が可能であることが分かった。この造影剤投与によるマウスへの毒性は見られなかった。ここに、気相中でのイオン注入技術と、溶液中でのAuナノ粒子付加技術を通して、簡便なマルチモーダルダイヤモンド造影剤の開発に成功した。さらに金ナノ粒子を介した簡便なPEG付加が可能になるため、今後は、PEGの大きさや末端の官能基を変えることで、分子・細胞イメージング造影剤としても機能させることが可能になると期待される。
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