研究概要 |
DNAチップは病気に関連する遺伝子の研究、ゲノム創薬やテーラーメイド医療の実現において不可欠なツールであり、いかにして装置およびチップのコストを低減し検出感度や操作性を向上させるかが課題となっている。本研究は、金ナノ粒子間に形成されたナノメートルサイズのギャップを架橋するように一本鎖プローブDNAを固定し、相補的なDNAとの二重らせん形成に伴うDNA自身の電気的性質の変化を迅速かつ高感度に計測することを目的としている。前年度の研究成果から、金ナノ粒子膜に形成されたナノギャップを利用することで電気的にDNAを検出できることが示されている。デカンジチオール分子により架橋された金ナノ粒子間に形成される各々のナノギャップが電極のように機能することでDNAの電気的検出を可能にした。ナノギャップは、基板電極をバインダーとなるデカンジチオール溶液と金ナノ粒子分散液へ交互浸漬することで比較的簡単に得られた。今年度は、更なる作製方法の簡易化を目指し、金ナノ粒子作製時に粒子間に一定のギャップを持つようなマトリックス形成を可能にすることで、ワンステップでのナノギャップ作製に取り組んだ。アニリンを用いて金イオンを還元することでアニリンをバインダーとして金ナノ粒子間にナノメートルサイズのギャップを形成することに成功した。さらに、生成したマトリックスの電気化学的性質を詳細に調べた。 これらの成果については、国外雑誌(J:Electrochem.Soc,J.Phys.Chem.C)および国内学会(第58回応用物理学関係連合講演会、東京コンファレンスなど)において成果発表を行った。
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