C型慢性肝炎は、高率に肝硬変や肝がんへと進行する予後不良な疾患である。根本的な治療法として、一般的にはペグ・インターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン(RBV)の併用療法でウィルス駆除を行うことが多いが、著効率は未だ悪い。そこで研究代表者は、PEG-IFNとRBVの併用療法の著効例および非著効例に対して、低分子化合物の量的、質的な変動に対する代謝分子の総体の解析、すなわちメタボローム解析を行うことにより、新たな治療効果予測因子の同定や、さらには新たな治療法開発への応用を目指している。 今年度は、臨床サンプルを用いた前処理条件・分析機器条件・データ解析手法の最適化をはかった。臨床サンプルが含有する低分子代謝物の多様性・複雑性を考慮し、主な分析機器としてはGCMSを用いて検討した。水/メタノール/クロロホルム混合溶媒を用いて水溶性/脂溶性代謝物を回収し、(Blight & Dyer法)、誘導体化処理を行った後にGCMSによる解析に供した。さらに解析に必要なサンプル量の検討を行った。これらの予備実験の検討がほぼ終了し、現在、正常人ならびに肝炎ウイルス患者の臨床サンプルを用いて検討を行っている。今後、計画どおり、ガスクロマトグラフィー質量分析計による測定を実施して、治療前後の血清代謝産物存在パターンが健常人に近づくのか否かなどを検討することで、治療効果予測への適用性に関しても明らかにする。
|