研究概要 |
本年度は、Annexin V及びアビジン-ビオチン結合を介した、ボスファチジルセリン(PS)を殻成分に含有する微小気泡(Sonazoid)を基盤とした分子標的気泡の開発の実現可能性を明らかにした(Otani K and Yamahara K. Mol Imaging Biol 2011; 13 : 250-6)。同時に、この検討によりAnnexin Vを介して作成した分子標的気泡はCa^<2+>の添加による気泡数の著しい減少など、臨床応用が困難であることが判明した為、Annexin Vの代わりにCa^<2+>非依存的にPSを認識する分子であるLactadherinに着目し、Lactadherinを用いた分子標的気泡の作成に着手した。Annexin Vと同様に、LactadherinはSonazoid中のPSと結合することが明らかとなった。また、Annexin VとPSの結合は脆弱であり、攪拌することでその結合が容易に外れたのに対して、Lactadherinは攪拌後においてもPSとの結合が保たれることが明らかとなった。これらの結果より、Sonazoidを基盤とした分子標的気泡の作成において、LactadherinはAnnexin Vよりも有用な分子であることが示唆された(Otani K. Ultrasound Imaging 2011, in press)。 LactadherinはPSと結合すると同時に、血管新生と密接に関連する分子であるインテグリンαvβ3とも結合することが知られていることから、Lactadherinを介した分子標的気泡の新生血管特異的超音波造影剤としての可能性についてin vitroやin vivo実験にて現在検討中である。
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