3次元動作解析システム、筋電計、床反力計を用いて、健常若年者を対象に立位における視覚誘導型の随意的連続運動課題の基礎的データを収集することと、本運動課題の再現性と影響因子について調べることを目的とし、以下の実験を行った。[方法]健常若年者6名(男女各3名)。実験は1日目と1週間後(2日目)の2回実施。[実験](1)3つの視覚条件(開眼時、閉眼時、眼球運動時)の安静立位姿勢保持(足の位置はパラレル型)。(2)随意的連続運動課題は一側下肢への荷重量と荷重速度を変えた前後(ステップ型立位姿勢)及び左右(パラレル型立位姿勢)方向への荷重移動課題を行わせた。基礎的データは3秒間の各安静立位姿勢保持時の床反力の値を計測し、その変動係数を算出した。連続運動課題では2つの荷重量(軽い荷重:50N、重い荷重:体重の1/3荷重)に対する利得と要求された周波数(0.1Hz、0.25Hz、0.5HZ、0.8Hz、1.0Hz)との位相差を各運動方向で算出した。再現性は1日目と2日目の利得と位相差の級内相関係数を算出した。[結果]1日目と2日目の級内相関係数は利得0.80(95%信頼区間:0.56-0.91)と位相差0.65(95%信頼区間:0.31-0.85)であった。視覚条件間の立位姿勢の床反力の変動係数に差を認めなかった。連続荷重課題時の利得と位相差に荷重方向(前後:1.3~0.8、89~7deg、左右:1.4~0.8、92~9deg)、荷重量(軽い荷重:1.4~0.8、92~10deg、重い荷重:1.0~0.8、74~7deg)、荷重速度(0.1Hz:0.9~0.8、24~7deg、0.25Hz:1.1~0.9、28~17deg、0.5Hz:1.3~0.9、37~10deg、0.8Hz:1.2~0.8、89~61deg、1.0Hz:1.4~0.8、92~10deg)に有意差を認めた。結果より、健常若年者において本運動課題は運動方向と荷重量及び荷重速度に影響を受けることが明らかとなった。[今後の予定]必要な解析を継続するとともに、若年者の被検者数を増やし、高齢者のデータを収集する。さらに、調査項目を足圧中心や体重心に広げ、姿勢制御のシナジーの柔軟性と加齢の影響の観点から考察する。
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