前年度に引き続きアンケート調査を実施し、その解析を行い、嚥下造影検査を実施した。透析患者126名を対象として、服薬時のつかえ感の経験の有無を尋ねたところ、32.5%の透析患者が、服薬時のつかえ感を経験したことがあると回答した。しかし、日常的(1ヶ月に1回以上)につかえ感を感じているものは、6.3%(8人)と、当初の予想を下回るものであった。また、飲水が制限されていることを「とてもつらい」、「けっこうつらい」と回答するものが、17.5%と予想よりも少なかった。 少ない水でたくさんの薬を飲まなければいけない透析患者は、薬が上部食道に停留することが多く、つかえ感に悩んでいるものが多数存在するではないかと予想していたが、今回の調査からは、絶対数として、薬のつかえ感に悩む透析患者がとても多い分けではないことが分かった。今後、年齢を合わせた健常者においてつかえ感を感じるものの割合に関する調査を進め、今回の結果と比較する必要がある。 つかえ感をよく経験する健常者(特別な疾患が明らかになっていないもの)では、嚥下造影検査正面像において、少量バリウム水嚥下時に、上部食道で左右が合流する現象が認められることが多い。今回、つかえ感を日常的に感じる透析患者2名を対象に嚥下造影検査を実施したところ、2名とも上部食道の合流現象を認めた。今後、症例数を増やし、上部食道での合流現象がつかえ感の原因となりうることを明らかにする必要がある。
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