本研究の目的は神経変性疾患の運動機能障害に対するリハビリテーション効果と疾病に起因する高次脳機能との関連を、三次元動作解析装置・床反力計・動的重心動揺計・電気生理学的検査などの計測機器や神経心理学的検査を用いて明らかにすることである。これにより、リハビリテーション効果を認める症例の特徴を検討し、有効なリハビリテーションプログラム構築に役立てる意義がある。 リハビリテーション開始前に三次元動作解析装置・床反力計・動的重心動揺計・電気生理学的検査(約15分)やFAB(前頭葉評価バッテリー)・CAT(標準注意検査法)等の検査バッテリーを用いて高次脳機能の評価を行う。股関節・膝関節・腹筋・背筋・殿筋の運動、体幹の回旋運動、立ち上がり訓練、歩行訓練などを約30分行った後、即時効果の検討のため、再度、三次元動作解析装置による評価を行う。 パーキンソン病患者において三次元動作解析装置により、歩行に関しては、歩調・歩行速度・重複歩距離・歩幅距離・単脚支持時間・両脚支持時間・歩隔や歩行時の膝関節・股関節・足関節などの各関節の関節可動域、体幹の移動距離について検討を行い、FAB高値群で有意な改善を認めた。起立動作に関しては、前後・左右・上下への動揺、速度について検討を行ったところ、リハビリテーション後には動揺の減少は見られなかったが、速度の改善を認めた。この結果は、FABの結果と関連が見られなかった。今後、症例を増やして検討を行うとともに他の検査バッテリーとの関連についても検討を行う予定である。
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