理学療法士・作業療法士が日頃の臨床活動でよく感じている「自らが行っている運動療法に解剖学的に正確な裏付けがあるのだろうか」という疑問を解決する目的で、骨格筋に対する詳細な解剖学的調査を行った。大胸筋と小胸筋の筋束を調べ、呼吸療法などへの応用を新提言することができた。また内転筋管を構成する広筋内転筋板、すなわち内側広筋と大内転筋の表面に張る腱膜構造と、大内転筋・長内転筋の付着形態や内側広筋の筋束の付着形態を中心に観察を行い、股関節内転筋群がしっかり働いていないと、膝を伸展できないのではないか、という仮説を解剖学的事実から提唱することができた。大殿筋と外肛門括約筋の間に腱膜性の殿筋膜が介在することにより、お互い収縮機能を補助し合う関係も存在するとわかった。
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