研究概要 |
平成23年度は,平成22年度に行った脊髄損傷ラットでのFNS治療実験めデータ解析を行い,脊髄再生治療との併用療法の効果を確認するため,脊髄半切モデルを作成し,損傷モデルの歩行解析を行った。脊髄圧挫損傷作成装置(IHインパクター)を使用して,150kdyneのForceで中程度の脊髄圧挫損傷を作成した。1週間の安静の後に,FNS治療を行った。まずは短期での治療効果を評価するため,受傷後1週間目から15分/日,3目間治療を行った群(n=5)と,損傷コントロール群(n=5),正常コントロール群(n=5)の3群で比較した。損傷後2週間後のBBBスコアの比較では,何れの時点でもFNS治療群と損傷コントロール群との間で有意な差は認めなかった。損傷2週間後に行ったトレッドミル歩行の3次元動作解析の結果では,左右の後肢共同運動,接地の位相はFNS治療群で損傷コントロール群に比較して改善傾向を認めた。従って,この結果から針電極を使用したより低侵襲なFNS治療モデルによる,短期での運動機能改善効果が証明された。さらに同FNS治療モデルと脊髄再生治療の効果を検討するため,脊髄半切モデルの作成,トレッドミル歩行解析を行った。脊髄半切モデルでは損傷後2週間でトレッドミル歩行が可能となり,歩行解析により,後肢機能の客観的評価が可能であった。今後は同モデルを用いて,FNS治療とスカフォールドを用いた脊髄再生治療との併用療法の効果を検討する予定である。
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