研究概要 |
本研究の目的は健常日本人,特に小児の開鼻声値を調査し,スコアの基準値を設定,臨床の現場で鼻咽腔閉鎖機能が客観的かつ明確に評価できるための指標をつくることである. 先天異常,口腔顎顔面疾患,耳鼻科疾患を有しない健常小児および児童30名を調査した。また比較する目的で成人正常発話者80名を合わせて調査した。 短母音における開鼻声値の平均値は/i/が最も高く、小児25.1±7.0%(男24.2+8.0%, 女25.8±7.2%)、成人34.6±14.6%(男32.2±16.0%,女37.4±13.3%)であった。成人と比較し小児の方が低値であった。また性差は小児には認めなかったが、成人には認められた。 標本数はまだ十分なものではないと考えている。したがって昨年度同様に開鼻声調査を継続する予定である。標本数は小児男女各50例以上は必要と考えている。 開鼻声値は性差、年令差の他、方言によっても影響を受けるとのことである。今年度は昨年度同様開鼻声値の調査は健常小児を中心に進めるが、方言による差も考慮し、九州地方のみならず、他地方の施設にも協力を依頼し地域差の有無を確認したい。この結果によっては地方別の開鼻声値評価基準を構築する必要が生じると思われる。 また、小児に限らず、成人についての地域差を検討する必要があるだろう。幅広い年齢層のデータを採取することで,臨床面にも学術的にも利用価値の高いエビテンスを有する研究が可能と考えている.
|