研究課題
申請時の本年度の研究計画は、筋と関節内構造に生じた変化を、組織化学的・生化学的・生理学的に分析することで、伸張運動の至適条件を確定し、その伸張運動に物理療法を併用した効果的な予防と改善の条件を検討することであった。しかし、本年度から所属研究機関が変わったため、実験環境設備の調整が必要となり、年度当初から実験を実施することが困難となった。申請時の当初計画どおりに進まない時の対応として挙げた研究協力者の援助のもと、年度中旬には実験環境を整備し、筋と関節内構造に生じた変化の分析を進めるとともに、伸張運動と物理療法を併用する介入実験を実施した。脊髄損傷実験モデルを、無介入群、伸張運動介入群、温熱療法介入群、伸張運動と温熱療法併用介入群に分け、介入後、関節可動域測定を行った。その結果、伸張運動、温熱療法ともに単独でも関節可動域制限の改善に効果があった。さらに、その改善は、温熱療法単独より、伸張運動単独ならびにそれらの併用で有効だったが、伸張運動単独と併用の間には差が認められなかった。脊髄損傷後と同じ関節可動域制限を引き起こす関節固定モデルでは、伸張運動単独より温熱療法と併用することで、関節可動域制限がより改善されることが報告されている。本年度に得られた結果のみでは、伸張運動と温熱療法の併用は、中枢性麻痺に伴う関節拘縮の改善には大きな意味を持たない可能性が示唆されたが、次年度以降、組織化学的、生化学的、生理学的分析を実施し、治療効果の詳細な判定を進める予定である。
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理学療法学
巻: 38 ページ: 1-9