研究概要 |
本研究では、平成21年度及び22年度に健常者100名のデータを用いて20・30・40・50・60歳の健常者モデルを作成する計画である。21年度、健常者79名の実験を行ったが、30・40歳代の被験者数が著しく少なかった。そこで、本年度では、不足している該当年代の被験者40名の実験が実施し、データ処理が終了している。 また、健常者79名のうち10名を対象としてトレッドミル歩行分析で作成するリサージュ図形分析の信頼性を検討するとともに,トレッドミル歩行と平地歩行の比較によって妥当性を検討した。また解析パラメータは,身体10箇所に貼着した各マーカの運動軌跡の最大振幅値とした。2試行のトレッドミルの再現性は,ICC0.63~0.92と高かった。また,平地歩行との比較では,重心をはじめ他のパラメータの相関係数は0.5以上で高い相関を認めた。 そして21年度の非高齢者と高齢者の歩行速度5km/hのデータ解析に加え、22年度は2km/hと4km/hのデータ解析を実施した。その結果、グランドアベレージは,高齢者群で矢状面上での膝関節,足関節,爪先の周期運動が小さくなり,前額面上での足関節,爪先の左右距離が広くなっていた。トレッドミル速度による影響をみると,低速度では矢状面上で膝関節,足関節,爪先の周期運動が小さくなり,前額面上で肩峰,重心,股関節の運動軌跡の側方成分は大きくなり,鉛直成分は小さくなっていた。 さらに、実施計画の通り、23年度より開始する片麻痺患者・股関節患者の分析法応用の予測をたてるため、片麻痺者2名と変形性股関節症の患者1名の歩行分析を実施し、21年度及び22年度でグランドアベレージ作成にて考案した分析法を試行した。その結果、片麻痺者では、分回し歩行、遊脚期の骨盤挙上、前傾姿勢、爪先クリアランスの不良などの異常パターンを、変形性股関節症患者では、デュシャンヌ徴候の特徴を表現できており、異常歩行を有する患者への応用性が高いことが示唆された。
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