今年度はリサージュ図形の健常者モデルを年齢別、速度別に作成し、片麻痺者の異常パターンについて分析した。 健常者モデルで使用するリサージュ図形は、肩峰、股関節、膝関節、足関節、爪先とそれらから合成して計算した重心の6種類とした。また各リサージュ図形とも水平面、前額面、矢状面とした。年齢別は年齢を20、30、40、50、60歳代に分け、速度は時速1、2、3、4、5kmの計5速度とした。時速5kmのリサージュ図形で年齢別に比較すると、6種類のリサージュ図形ともほぼ同一のパターンであったが、時速1~3kmのリサージュ図形では50、60歳代の矢状面における膝関節、足関節、爪先に特異的なパターンを呈することが明らかとなった。また、対象者の快適速度に近似していた時速5kmを快適歩行と想定し、年齢別に比較すると年齢が高くなると、前後方向の運動は小さくなり、側方方向の運動は大きくなる傾向を認めた。 さらに理学療法士3名が片麻痺者114例の中から分回し歩行、骨盤挙上、爪先前足接地、内側ホイップ、体幹側屈の異常パターンを認める者を選出し、全リサージュ図形(左右の肩峰、股関節、膝関節、足関節、爪先と合成重心の計11個)からその特徴について分析した。50、60歳代の健常者の時速5kmのデータと比較すると、各異常パターンは個々のリサージュ図形の形状やリサージュ図形の相対的な位置関係から特徴を分析することができた。また、複数の異常パターンを認めるケースでは、その因果関係についても推察することができた。
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