研究概要 |
目的:硬度識別課題を用いたF足底知覚運動学習課題が脳卒片麻痺患者の立位姿勢バランスの安定化に対して有効に作用するかを明らかにすること.そして,その効果の要因としての脳機能を分析すること.対象:入院中で医学的リハビリテーションを施行している脳卒中片麻痺患者22名.その対象を介入群11名,コントロール群11名に無作為に振り分けた.方法:介入群は硬度の異なるスポンジゴム上でその硬さの違いを識別する課題を遂行した.コントロール群はスポンジゴム上で立位を保持する課題を遂行した.それそれ10日間継続した.アウトカムとしては立位重心動揺値とファンクショナルリーチテストを用いた.一方.課題遂行中の脳活動をfunctional near-infrared spectroscopy (fNIRS)を用いて調べた.結果:介入群でほ有意な知覚運動学習効果を認め,その効果に伴い有意な重心動揺の減少および前方重心移動距離の増大が認められた.コントロール群は有意な変化がみられなかった.また介入群はコントロール群に比べ効果量(effect size)が有意に大きかった.介入群11名中9名でその効果がみられ,2名は変化がみられなかった.効果のみられた9名では,課題中において前頭前野背外側部および運動前野領域の酸素化へモグロビン濃度長の上昇を認めたが,`残る2名は大きな変化がみられなかった.一方,コントロール群においては脳活動に明な変化はられかった. 結論:これらの結果により,脳卒中片麻痺患者の立位姿勢バランスの安定化に対して,足底知覚運動学習課題が効果的に作用することが示唆された.また,その効果・改善に対して,前頭前野および運動前野領域の活性化が関与することが示唆された.
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