神戸大学大学院保健学研究科、同大学院工学研究科、同大学院人間発達環境学研究科と連携して、本年度は自閉症児及び(1)健常児の音声収録、(2)独自の音声解析プログラムの開発、(3)学会発表を行った。(1)自閉症児の音声収録は神戸大学医学部附属病院、神戸市総合児童センターにて、また健常児は医療法人財団パルモア病院にて、さらに難聴幼児通園施設・神戸市立ひばり学園にて実施した。これにより、自閉症児10名、健常児25名、聴覚障害児1名の音声データを収集した。収集機材は襟元に装着する有線ピンマイク、音声をデジタルデータに変換するオーディオキャプチャ、そのデータの出力先であるモバイルノートパソコンの3点である。音声収録は本研究代表者及び保健学研究科の大学院生で行った。(2)Math Works社製の解析ソフトウェアであるMATLAB及び同社の信号処理ツールであるSignal Processing Toolboxを基に、工学研究科及び人間発達環境学研究科と連携して、独自の音声解析プログラムの開発に取り組んだ。自閉症児の音声解析に関する研究はこれまでに十分されておらず、試行錯誤を通じてプログラムの開発を重ねてきた。現段階では音声ピッチ及び音声波形に絞っており、より詳細な、より簡便なプログラムの開発を進めている。(3)国際学会であるSARMAC(応用記憶認知学会)にて本研究の経過発表を行った。これにより、国際的視点からの情報や意見を交わすことができ、本研究の意義について再認識することができた。次年度は、自閉症児の医療臨床からの新たな知見を得るため、日本小児科学会及び日本小児保健学会等にて発表する予定である。
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