研究概要 |
本年度は脳波・パフォーマンスによる検討ならびに,TMS-EEGによる検討をおこなった.脳波・パフォーマンス検討では被験者15名を対象とした検討の結果,反応時間が誤反応において延長する傾向が認められた.また誤反応率は実際の正誤ではなく,被験者が自信を有していた場合に上昇した(p<.05).フィードバックエラー関連電位(Fb-ERN)は主観的に正解であると考えていた時に陰性電位が増大した(p<.01).LORETAによる脳波震源地推定で前部帯状皮質が発信源であると推定され,先行研究ならびに申請者のこれまでの結果を支持した.以上の結果からTMS-EEG検討での刺激部位を同定した.TMS-EEG検討では被験者6名を対象として,脳波・パフォーマンス実験で得られた刺激部位を対象に,時間評価課題を用いて検討を行った.パフォーマンスでは,TMSの有無,刺激部位に関わらず,エラー後の次試行で正解後に比べてエラーが増加した.脳波検討では,TMS時に事象関連電位のFb-ERNの出現が遅延した.また,Fz刺激とCz刺激で反応時間が変化し,正答時間からの逸脱はCz<Fzであった.以上の結果からTMSによるエラー関連電位の抑制はパフォーマンスモニタに関連していることが示され,次年度予定している追加実験によって,詳細なメカニズム検討を実施する.
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