本研究の目的は、下肢血流を改善するための物理療法プログラムを作成し、前向き介入試験によって、血流低下に伴う下肢症状を呈する高齢者の血流改善効果および活動量・QOLの変化を検証することである。 平成21年度は、物理療法プログラムと介入条件の検討、および介入試験参加者登録を行った。物理療法プログラムの検討は過熱水蒸気による加温と間欠的空気圧迫を併用した新しい装置を用いて行なった。また、物理療法実施中の下肢血行動態の測定は近赤外線酸素モニタ、レーザードプラ血流計、レーザードップラー血流画像化装置を用いて行なった。 まず健常者を対象に、物理療法を行った際の下肢血行動態の変化を測定し、効率的に血行動態の改善が得られる設定条件を確認したうえで、下肢症状を有する高齢者に対して物理療法を実施した際の下肢血行動態の変化を測定した。また、物理療法を実施した高齢者より下肢症状の出現状況および物理療法実施時の自覚症状を聴取し、介入条件の検討を行った。 介入試験参加者は市民公開講座会場等にて募集した。介入試験参加希望者に対しては、まず下肢症状の確認および足部皮膚温の測定を実施したうえで、適格条件に合致し、研究参加の同意が得られた者のみを本研究の対象者として登録した。下肢症状を有する地域住民約80名のうち、適格条件を満たす者は16名であり、研究参加の同意が得られた者は10名であった。 平成22年度は、50名を目標に参加者登録を行い、前向き介入試験を実施する予定である。
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