研究概要 |
本研究の全体構想は,「視覚障害者(全盲)と晴眼者とが生涯学習の一環として共に学ぶ博物館エスコートロボットを開発すること」である.具体的な要素研究は,(A)視覚障害者の注意方向同定と(B)晴眼者の注意方向同定,そして(C)視覚障害者と晴眼者の共同注意に配慮したエスコートロボットの情報保障シナリオ構築,の3つである. 具体的には,博物館の展示物を前にして視覚障害者と晴眼者とが言葉で語り合う場面を想定した.生涯学習においては学習者自らの主体的な"気づき"こそが重要なため,いきなり解説するガイドロボットよりも,エスコート(伴走する)ロボットとしての設計指針が重要である.本研究では,障害者の「ため」だけのシステムデザインとならないように,ユニバーサルデザインのポスト概念として期待されるインクルーシブデザイン手法を採用する.障害の有無にかかわらず,「ともに」新たな学びを得られるという恩恵を享受できるシステムデザインを目指した.本年度は、視覚障害者の注意方向の同定に触察行動における手のひら位置の推定を実施した。また晴眼者の注意方向同定については注視点計測装置をもちいた情報提示手法に関する実験を行った。適切な解説に関しては、ロボットから人間への話しかけのタイミングや距離を調査する研究を行った。
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