研究課題
本研究の目的は、バーチャルリアリティ(VR)の技術を用いてヒトの姿勢制御と歩行の能力を評価するシステムを構築する事である。また、構築したシステムを用いて多様な被験者集団からデータ取得を行い、様々な脳神経系の状態を鋭敏に評価して、潜在するリスク要因を明らかにする事も目指す。本年度は特に(1)VRの環境構築、(2)インテリジェント・トレッドミルを用いた歩行システム構築、(3)コンピュータシミュレーションを用いたヒト身体運動の解析、の三つの領域で大きな成果を挙げた。(1):バーチャルな市街地の環境を構築し、その中で使用者が前後左右に自在に動ける様にした。この市街地は3次元のポリゴンを用いて構築したもので、5面からなる没入型立体視のシステムを用いると、あたかもその市街地に入り込んだかのような状況を作れる。現実感を高めるために認知心理学的な知見を大幅に取り入れた。(2):6成分力のセンサを有するトレッドミルを用いて、使用者の意図を検出し、それに応じてベルト速度を適応的に制御するシステムを構築した。具体的にはトレッドミル上で歩行する際に床反力を計測し、足部が蹴り出す力が大きい際にはベルトを加速し、力が小さい際にはベルトを減速する。これによって使用者はあたかも平地を自由に歩行するような感覚でトレッドミル上を歩行出来る。(3):高自由度・高精細なヒト筋骨格系のモデルを用い、特に下肢運動の際の筋・腱複合体の力学的挙動を解析した。これによって、従来の実験的な手法では不可能であった力学的評価が可能となる。跳躍運動や、跳躍に類する爆発的な運動を取り扱った。身体運動時に筋骨格系に作用するストレスを詳細評価した。今後はこれらの成果を相互に強く結びつける事を重要課題の一つとし、より一層精力的に研究を推進する予定である。
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