研究課題
本研究では、バーチャルリアリティの技術を活用して姿勢制御と歩行の能力を評価するシステムを構築することを目的としている。本年度は立位姿勢の保持と歩行の課題について、実験的データ解析と理論的解析の両方で成果を挙げた。立位姿勢に関しては、静止立位を保持している際の足関節のインピーダンス特性(粘弾性)を同定する手法を開発した。これは床反力計を用いた足圧中心位置の計測データを、システム同定の手法を用いて解析するものである。これによって立位時の足関節インピーダンス特性をリアルタイムに同定することが可能になった。また、足関節のインピーダンス特性が立位姿勢の安定性に及ぼす影響を制御理論に基づいて考察した。その結果個々人が安定的に立位姿勢を保持する能力(裏を返せば立位保持時の転倒リスク)を定量評価することが可能となった。更に、バーチャルリアリティ技術を用いた視覚フィードバックによりインピーダンス特性が変化し、立位姿勢の安定性を向上できる事が示された。歩行動作に関しては、様々な速度で歩行する際の歩行速度と床反力との関係を詳細に解析した。これによって、歩行速度が増加するにつれ(1)進行方向の床反力の力積が増大すること、(2)支持脚期の長さが短くなること、(3)遊脚期の長さが長くなること、が明らかになった。また、これら(1)~(3)のパラメータ値に基づいて被験者の意図する歩行速度を高精度に推定できることも明らかとなった。推定結果に基づいてトレッドミルを駆動することにより、通常の平地歩行に近い感覚でトレッドミル上の歩行を行える。これによって仮想空間内で歩行動作の評価をする際に、より没入感の高い環境を実現できる様になった。以上より、本研究では初期に計画した成果を十分に達成したのみならず、更に研究を発展させるための確固たる基盤を構築する事が出来たといえる。
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Journal of Biomechanics
巻: 45(未定)(掲載確定)
10.1016/j.jbiomech.2011.11.054
日本ロボット学会誌
巻: 30(未定)(掲載確定)
10.1080/02640414.2011.568512
高次脳機能研究
巻: 32(未定)(掲載確定)
体育の科学
巻: 62 ページ: 10-19
http://kuid.ofc.kobe-u.ac.jp/InfoSearch/Detail.do?dbid=1&recordnumber=QKBj80vPS5HO%2BIBQ3mbe3w%3D%3D