平成21年度に実施した研究は、車椅子からの移乗動作の安全性確保のための映像コンテンツ制作の研究に関する研究の初年度として、(1)車椅子を使用している高齢者(被介助者)が日常生活で行う車椅子からベッド、または、ベッドから車椅子に乗り移るといった移乗動作のパターン化を試みた。類似する先行研究を精査し、本研究では、観察・考察する高齢者の移乗動作のパターンを以下の3パターンと定め、移乗動作の抽出・検証・再現を行った。(1)ベッドの座面の高さと車椅子の座面の高さ(個人の身長の差異を考慮して設定を行う)の違いによる身体動作の異同に関する比較。(2)ベッドと車椅子の異なる位置・角度の違いによる身体動作の異同に関する比較。(3)介助者による介助がない場合、すなわち、被介助者一人で移乗道具(スライディングボードなど)を使用し、ベッドから車椅子へ移乗する場合の身体関節可動域や筋負担度の比較を実施した。(2)(1)、(2)に対する介助者(本研究では理学療法士)の介助動作のパターンを抽出しデータ・べース化した。(3)3次元スキャナシステムにより車椅子の寸法・車椅子上の身体寸法や姿勢の変化を測定し、映像コンテンツ化に取り掛かった。
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