研究概要 |
平成21度は,自律機能を有する義肢エージェントの開発を実施した,通信機能を有する小型のステッピングモータと小型のコントロールユニットを組み合わせてシンプルな構造を実現した.この義肢エージェントは,操作者からのコマンドにしたがって対象物へのアプローチ姿勢を変更することが可能である.ここで姿勢制御のパターンは,義肢エージェントと一体化したコントロールユニット内にプログラムされており,操作者のシンプルなコマンドから,詳細な動作を自律的に実施することが可能である.また,実験などを円滑に進めるために,パーソナルコンピュータ上に仮想義肢制御システムを構築した,このシステムでは,操作者から計測した筋電位信号をインタフェース手段として利用し,仮想義手の制御を実施することができる.また,操作者の上肢に3次元位置センサを装着し,上肢の姿勢情報と組み合わせることで,仮想空間中での把持作業が可能である.仮想システムは,プログラムを変更することで様々な制御アルゴリズムを実現できる点が特徴である.そこで,このシミュレータをエージェントの評価ツールとして利用し,実装すべき制御則の検討を実施した.この検討では,仮想空間での把持動作の解析を対象とし,筋電指令のみで制御する場合,筋電指令と自律動作を組み合わせた場合,完全に自律動作のみの場合について操作性の解析を行った.現在,解析中であるが,これまでに,筋電指令のみで制御を実施した場合は,人間の自然な動作と比べて,不自然なアプローチ軌道をとることが明らかとなった.また,筋電制御アルゴリズムの制御特性に順応するように,操作者の操作戦略が変化していくことも明らかとなった.次年度は,これらの結果を踏まえながら,自律エージェントのプログラムを構築していくとともに,強化学習による自律動作の獲得についても検討したいと考えている.
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