研究課題
本研究の目的は、上肢切断者が失った腕の機能をメカトロニクス技術により再現することであり、切断者が使用する電動動力義肢とその制御システムに関して検討を行うものである。本年度は、平成21年度に構築した仮想義肢制御システムに筋電位信号に基づくインタフェースを組み合わせるとともに、エージェントの自律制御プログラムについても、埋め込み知能型の自動制御アルゴリズムを導入し、システムの動作検証と操作実験を行った。このシステムでは、操作者の筋電位信号のみならず、操作者の上肢に装着した3次元位置センサから上肢の姿勢情報を取得し、制御に組み合わせることが可能である。また、エージェント自体が対象物までの距離に基づいて自律的にハンドの開閉を制御する機能も備える。健常者5名について「把持動作」を対象として、筋電位による操作性に関する検証実験を実施した。操作時間、把持の成功率、アプローチ軌道、積分筋電値、主観評価などのパラメータを解析した結果。自律的な制御機能を搭載することで、操作性が著しく向上できることが明らかになった。また、将来的に未知対象物への動作の柔軟性・多様性を実現するために、強化学習を利用した義肢エージェントの動作獲得についても検討を行った。強化学習では、Q学習に基づく学習アルゴリズムをプログラミングするものとし、最も基本的なε-greedy法に基づく行動選択に従ってエージェントは動作するものとした。計算機上でシミュレーションを実施した結果、学習アルゴリズムが正しく動作することを確認した。平成23年3月末時点での本アルゴリズムのハードウェアへの実装は、残念ながら達成されていないが、近い将来には実装し、実機での動作検証を行う予定である。
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Proceedings of IEEE International Conference on Systems, Man and Cybernetics
ページ: 1793-1798
計測自動制御学会論文集
巻: 46 ページ: 578-585