研究概要 |
本研究では,視覚座標系と身体座標系の間に回転変換を施した視覚運動変換下の到達運動課題を用いて,離散的(Discrete)な到達運動を運動の単位として繰返し訓練する学習方法と,周期的(Rhythmic)な運動を基礎として訓練する学習方法の二群に分けて訓練させた場合の学習傾向の特徴について実験的に分析を試みた.前年度の実験より,周期的学習を行った被験者は離散的課題にも適応できるという結果を得た.この結果は周期運動が運動の基本要素(プリミティブ)であるという仮説を支持するが,その一方で,周期運動時の反応時間の分析より,実験で用いられた周期運動課題は離散的到達運動を休みなく連続して行うため,むしろ離散的課題の訓練になっていた可能性が排除できないことが示唆された.そこで本年度は,周期的課題時に被験者がフィードフォワードに運動を行うように統制した条件下で再度実験を行い,周期的学習と離散的学習の効果の比較を行った.実験の結果,やはり周期的学習は離散的学習よりも汎化能力が高いことが示された.この結果から,周期運動が運動プリミティブであるという仮説をより強く支持するものであると言える.
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