研究概要 |
本研究は日米の4つのボディワーク(イデオキネシス、ボディ・マインド・センタリング、活元運動、野口体操)を対象として、其々の考案者の主張とその理論を明らかにするとともに、相互比較を可能とする理論的枠組みを提示することを目的としている。 平成21年度は、研究に必要な文献(47件)及び記事資料(64件)を収集し、各ワークの指導者へ予備インタビュー(4名)、研究助言者との打ち合わせ(2名)、各ワークへの参与観察(計178時間)を行った。作業を通して、対象とするワークを比較考察する上で考慮すべき点と、分析の視点が次のように浮かび上がった。 考慮すべき点:(1) 各ワークには、「身体(body)」や「動き(movement)」等、基本的な用語そのものにおいてもそれぞれの概念がある。(2) 考案者の手法・主張は年代を経て変容している。(3) 後継者(指導者)はワークの手法を引き継ぎ、時代と学習者層の変化に応じて手法を変化させるとともに、考案者の主張を継承しているとは限らない。 分析の視点:対象とする4つのワークはいずれも活動を伴う実践であり、指導者から学習者に伝達される指導内容があり、学習者は集団でワークを行うという点で共通し、各ワークには実践における基本的な状態/行為を意味する独自の語が確認される。例えば、イデオキネシスの「CRP(構造的休息姿勢)」、BMCの「yielding」、活元運動の「天心」、野口体操の「貞く」である。これらの語の概念を検討することで、各ワークにおける身体や心の考え方のみならず実践そのものを描きだすことが可能であると考えられる。 平成22年度は、当初より4つのワークに共通するものとして注目された手法上のキーワード「イメージ(image, visualization)」及び「接触・触診(touch, hands-on)」に加え、前述の実践時の状態/行為を説明する語を考案者の思想や主張を読み解くキーワードとして、分析を行う。
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