神経系、情報系の運動能力とされるコオーディネーション能力については、その診断の方法が難しく、国内外において様々な研究がなされてきた。そこで本研究において、児童期にけるコオーディネーション能力診断テストを開発することを目的に研究を実施した。特に本年度においては、国内外におけるコオーディネーション能力診断テストの実態を調査した。この結果、我が国におけるコオーディネーション能力診断テストについての研究は寡少であり、児童期の体力を精確に把握するために早急に整備すべきことが確認された。一方、国外の実態としてかつてよりコオーディネーション能力の育成についてその重要性を主張してきたライプチヒ大学が位置するドイツ連邦共和国ザクセン州の実態を調査した。結果、基礎学校の就学4年のうち、3、4学年以降については、運動能力診断コントロールが実施され、そのなかにコオーディネーション能力のテスト項目もいくつか存在し、このテストの結果は、児童の評価として行われているとともに、日々の指導の参考資料として用いられていることがわかった。 我が国には、開発から12年が経過した新体力テストがあるが、このテストを実施していない学校および学級があるなど、児童の身体能力を把握することについては、まだ十分といえる状況ではない。そこで、本研究で判明したドイツ・ザクセン州の運動能力についての基本的考え方から、その診断、測定、評価の具体的方法は、次年度以降に計画されている小学校教育現場での診断テストの実施を推進するための基礎資料とかり、コオーディネーション能力診断テストの開発に大きく寄与する成果を得ることができた。
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