本年度は、昨年度の調査研究成果から選出したコオーディネーション能力診断テストの、小学校高学年を対象とした診断測定結果から診断テスト項目としての妥当性を検証した。結果、テスト間の有意差は項目によって違いがあるなど、児童のコオーディネーション能力を診断するテスト項目として改善の余地があることがわかった。ただし、今回の被験者の小学校高学年(11、12歳)というコオーディネーション能力の完成期の児童の特性として、能力の向上の効果がさほど現れなかったとみることもでき、このあたりの検証が今後の課題となった。 また一方でコオーディネーション能力は、筋力やスピード、持久運動能力などのコンディション能力をどう活用しているかという神経系の運動能力であることを考えると、コンディション能力との関連のなかで診断する必要がある。そこで、学校教育現場において1クラスあるいは1学年を対象とした場合、「コオーディネーション能力簡易診断法(逆順位法)」によって児童のコオーディネーション能力を診断できる方法を提示した。これにより、コンディション能力の「活用度」といったものが導出され、それらを図示化することで、クラスや学年での児童の運動能力の特性がよりはっきりと示され、日頃の学校体育をはじめとする運動指導において個々の児童に応じた指導の働きかけ、および体力・運動能力の評価が可能となる。ただし、この方法は、診断対象の母集団(クラス・学年)の人数や構成に留意する点があるなど、少人数や、異年齢の集団の診断は、その取扱についてさらに検討が必要であることがわかった。
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