平成23年度より、小学校体育科において「体つくり運動」が全学年において実施され、特に低・中学年には「多様な動きづくり」が重要な内容として扱われている。しかし、授業単元前に子どもの動きの多様さを診断したり、授業の後においてどれほどの効果があったかを把握するための診断テストについては、現在の新体力テストの実施では不十分といわざるを得ない。こうした現状に対して本研究において、22年度の調査研究成果から選出したコオーディネーション能力診断テストの、小学校中学年(3年生)を対象とした診断測定結果から診断テスト項目としての妥当性を検証した。この結果、コントロール群に比較して、トレーニング群では、テスト項目によっては、有意な記録の向上が認められるなど、児童のコオーディネーション能力を診断するテスト項目として妥当であるといえることがわかった。診断テスト案の各基準値については、ドイツ・ザクセン州の小学校にて実際に使われている基準値を用いた。日独間の差があるかと思われたが、診断測定の結果を検証した結果、使用できることがわかった。ただし、高学年の診断結果においては、有意な差がみられなかったことから基準値をそのまま診断結果とするのではなく、診断値のクラス内の順位をもとに、新体力テストの結果と診断結果の関係から個々の児童の体力・運動能力のうちの特に神経系の運動能力であるコオーディネーション能力の診断が可能であることがわかった。 また、これらの診断テストの実施や分析の方法、また診断結果を授業等の実践へ導入する際の留意点については、所属学会等によって発表した。また同時に、ウェブサーバーを用いて、インターネット上にホームページを開設して、これらの情報を随時公開することとした。
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