研究概要 |
野球の投手は投球数の増加に伴い,ボール速度が低下し,コントロールが乱れ,1試合を完投できずに降板することが多い.そのため,投球数の増加が投手の投球動作に及ぼす影響は大きいと考えられる.そこで,本研究は野球投手の投球数の増加にともなう投球動作の変容に関するバイオメカニクス的分析を行うことによって,投球パフォーマンスの向上および投球障害予防のためのトレーニングの方針を提示することを目的とした.野球投手は他の野手とは異なり,フィールドから約20cmほど高いピッチャーマウンドから投球することがルール上,定められている.そのため,両脚の地面反力を計測するためにフォースプレート(Kistler社製,2台所有)の高さが異なる特殊な形状の仮設マウンドの製作が必要となる.平成21年度は,投球動作中の下肢の動作をキネティクス的に分析するために,屋内用フォースプレート埋設型仮設マウンドの製作および検討を行った.マウンドの高さや形状について検討した結果,投球方向に踏み込んだ脚側のフォースプレートの高さを基準とし,その位置からマウンドの高さを16cmとした.また,マウンド側のフォースプレートを固定するために重量の大きな取付フレームを作成することによって,既存の施設で使用可能となった.平成22年度は,上述したフォースプレート埋設型仮設マウンドを用いて,野球投手に1試合を想定した投球数(135球)を投球させることによって,投球数の増加にともなう上肢および下肢のキネティクス的な変容について分析を行う.
|