本研究は、1998年長野冬季オリンピックを開催した長野県長野市、2002年W杯サッカー日韓大会を開催した茨城県鹿嶋市を事例としている。両市における、「メガスポーツイベント開催後の遺産は何か」/「住民たちの地域生活において変容したことは何か」について、社会学の視点から実証的に明らかにすることを目的としている。「メガスポーツイベントの遺産」は、両市ともに、(1)インフラの整備、(2)ボランティア活動の定着に集約される。「住民たちの地域生活における変容」は、「生活の社会化」を促進させたことにあった。これらは、メガスポーツイベントが、住民たちが通時的に築きあげてきた地域生活の根幹である社会関係には抵触することなく、一過性のイベントとして住民たちに経験されたことを意味している。
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