研究概要 |
本研究は,筆者らが開発したテニスの電子スコアブック(高橋ら,2006;以下,スコアブックとする)の機能としてのパフォーマンス評価プログラムを開発し,実際の指導場面での活用結果からその有効性について検討するものである.具体的には,スコアブックでデータ収集が可能なスコアと各ポイントでの最終ショット,ショット時間などをパフォーマンス評価の指標として用いる.パフォーマンス評価の手段としては,近年研究が進められているperformance profilingの手法(Hughes et al, 2001 ; 0'Donoghue, 2005 ; James et al, 2005)を用いる. 本研究の結果,スコアブックのデータ出力プログラムとして,Stats機能とMomentum機能を開発することができた.Stats機能は,テニスの試合の評価で一般的に用いられている各種指標(1stサービスの確率,サービス時のポイント取得率,ブレークポイントの取得率など)を試合終了後即座に出力するものである.Momentum機能は,試合中の得点の流れを示すものであり,Hughesら(2006)によってその有効性が示されている.スコアブックには,道上ら(2009)の示した手法に則り,1ポイントごとの得点の流れを示したグラフを,試合終了後即座に出力する機能を付加した. これらの機能を用いて,実際の試合でのデータ入力と出力ならびにプレーヤーへのフィードバックを行なった.その結果,StatsならびにMomentumの出力を試合終了後即座に行なうことができることが確認された.またそれらの結果を用いたフィードバックでは,試合中の各種データを終了後即座に閲覧できることにより,試合に関する反省を客観的視点を持って行なえることができると考えられた.
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