研究概要 |
本研究は,筆者らが開発したテニスの電子スコアブック(高橋ら,2006;以下,スコアブックとする)の機能としてのパフォーマンス評価プログラムを開発し,実際の指導場面での活用結果からその有効性について検討するものである,平成21年度には,パフォーマンス評価の指標として,最終ショットの頻度やショット時間,サービス時の得失点率などを採用し,それらのデータを出力可能なプログラムの開発を行なった.平成22年度は21年度に開発したパフォーマンス評価プログラムを実際の指導現場で活用し,その効果や課題を明らかにすることを目的とした.指導現場で活用するためには,パフォーマンス評価結果を視覚化することが必要である.そこで,0'Donoghue(2005)の開発したパーセンタイルの概念を応用したperformance profilingの手法を用いることとし,その妥当性について検討を行なった.その結果,performance profilingによるパフォーマンス評価は,試合のセット取得と関連があり,セットを取得したプレーヤーのprofiling結果は相手プレーヤーよりも高い評価結果となることが明らかとなった.さらにperformance profilingの結果を算出するために基準となるデータを,世界トップ女子選手の試合を対象に収集し,そのデータの傾向についても検討を行なった.その結果,世界トップ女子選手においてもサービスの重要性が高いこと,グラウンドストロークで終わるポイントの割合が高いこと,サーフェスによってサービスのショット時間に違いがあることなどが明らかとなった.さらに指導現場で実際に活用を行い,プレーヤー自身の評価とパフォーマンス評価プログラムの評価とに乖離があることなども明らかとなった.
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