研究概要 |
スポーツ選手が体調を崩さずにトレーニングを遂行し,また,競技会にあわせて最高のパフォーマンスを発揮できるよう,体調管理・コンディショニングに必要な『総合的体調評価システム』の作成を目的として調査をすすめている.今年度は,体調を崩しやすい様々な身体的・精神的ストレスを負荷し,各種身体指標がどのように変化するかを調査した. 新型インフルエンザの影響により,測定を予定していた競技大会が中止されたことから予定通り調査が進行しないこともあった.しかし,美術学部学生を対象に制作展直前のストレスがもたらす身体変化を調査することができた.また,日頃トレーニングを行っていない学生を対象として,1日100kmのサイクリングを2日間遂行した時の身体変化を測定するなどの調査が実施できた.各調査では,従来からスポーツの現場で利用されている体温,心拍数,自覚的疲労度の測定に加え,心電図解析により得られる心臓自律神経活動,唾液アミラーゼによるストレス測定,味覚反応など,近年開発された簡便に測定可能な指標を用いて身体的・精神的ストレスの評価を試みた. 今年行われた基礎調査の結果から,スポーツの現場におけるコンディショニングに必要な身体指標と,有用でないと思われる指標が明らかになりつつある.来年度は,これらの結果を参考に各指標の有用性について,より詳細な検討を加えるとともに,競技会・試合前(数日前~直前)の体調変化が競技パフォーマンス・競技成績にどのような影響を及ぼすか調査する予定である.
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