研究概要 |
研究1:運動スポーツにおける完全主義の概念は、国内では確立していない.このため、国内外における完全主義についての先行研究(Gould et al.,1996;Hewitt & Flett, 2002;大谷・桜井、1995;小堀・丹野、2004)をもとに概念を検討する. 1. 内容的妥当性の検証:スポーツにおける完全主義を「スポーツにおいて、自分自身はたはパフォーマンスへの基準を高く定め、欠陥のさいパフォーマンスを求める傾向」とした.2.表面的妥当性の検証:日本人研究者による表面的妥当性の評価を再依頼した結果、上記の概念に対する同意を得ることができた.5つの下位尺度には、「高い基準」、「相違感」、「失敗をおそれる」、「周りからの期待」、「周りからの評価」が含まれた.3.完全主義傾向を測るため、下位尺度5つによる、63項目の質問紙が完成した.4.大学生167名(男子116名、女子51名)を対象に質問項目の読みやすさおよび信頼性の検討をした.Item-total correlationがく.30の項目を削除した結果、項目数は46項目となった.下位尺度数およびα係数は以下の通りである.高い基準(n=14,α=.89)、相違感(n=10,α=.76)、失敗をおそれる(n=7,α=.81)、周りからの期待(n=5,α=.84).下位尺度の周りからの評価については、充分な信頼度を得ることができなかったため、10項目をそのまま残した. 研究2:研究1において作成した運動スポーツ完全主義尺度の構成概念妥当性の確立のため、46項目の質問紙をもって、大学生298名(男子207名、女子91名)に回答を依頼した.Maximum likelihood factor analysis(ML)のvarimaxローテーションによりファクターを5と限定し解析を行った.結果、5つのファクターは見つかったが、予測される下位尺度にあてはまらなかった項目を削除した.よって、下位尺度は4となり、26項目が残った.次に、Maximum likelihood factor analysis(ML)のpromaxローテーションによりファクターを4と限定し解析を行った.その結果4つのファクターによる36.20%の全分散が認められた.全ての項目は予測される下位尺度に当てはまった.最後に下位尺度の信頼性を検討し、24項目の尺度が完成した.下位尺度数およびα係数は以下の通りである.高い基準(n=10,α=.84)、相違感(n=5,α=.70)、失敗をおそれる(n=5,α=.73)、周りからの期待(n=3,α=.80).
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